あるがこそピアノが好きである
ピアノの音がもしかしたら一番心に響くのかも知れない。


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無題1?3
「不利とは?」彼が言った。

彼は恐らく私が状況を理解していないと判断した。しかし勿論人の思考がそんなに単純であり、私がそれを指摘すればどうにかなるような状況ではなかった。そういう意味では状況を理解せざるをえない場面に立たされているワケなのだ。

「疑問言っても君が余計な判断をしない保証がないからね。」私は乾いたパンを食べたような気分に陥った。言いたくないことを言わざるを得ない不安でいっぱいだった。

喉が渇いていた。徐々に自分が面倒な状態であることを認め、心の中で皮肉を呟く。彼に気付かれないというのが、この遊びの唯一の利点であろうことは確かだ。

「別に、どうこうしようってんじゃないよ。」彼は急に口調を変えた。ふいと氷が解けたようだった。ヒビも同じく意味をなくし、水になればそれは水だった。

彼から敵意を感じなかったことと、彼がやはり私を殴打したことを更に確信した。

「なぜ僕を殴ったんだロメオ。」頭を徐々に左右にゆすり、ふがいない愛を目の当たりにした時のようなおう吐感を我慢した。

「気付いたのか。やっと。久しぶりだ、ジュリエット。」彼は悲しげに言った。ようやく目が冴えた。冴えなければよかった。

彼は笑顔で椅子に腰かけていた。間違いなくここは私の部屋だった。

ただしいつも私はこの部屋を利用する時に決まった動きだけをする。つまり今はその決まりからはずれているワケだが、たったそれだけで世界がまるで違った。蝶の夢を見ているようだった。

「聴きたいことなら、こっちにもあるんだよジュリエット。」彼は悲しげに言った。腕を椅子からだらりとおろし、だらしなく地面を指す指の先には、私を殴ったのであろう角材があった。

ひどく血を染みこませていた。そうするために購入したのか?

それは恐らく違う。なぜなら私はそれに対して言及せねばならないからだ。

「その傷はどうした?大丈夫なのかな…。」

彼は死ぬ直前といった感じだった。
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【ショートショート】糸糸言
上弦の月の方向は?どちらが弦であるかで理解できる。

しかし宇宙を隔てた者の感覚は、お互いに混じり合うことがあるだろうか?

壁というものを人々はしばしば形容し、絶望への材料へとする。応用して、勇気への障害ともする。

我々は我々の今を生き、彼らは彼らの今を生きる。我々の今が数学であったとしても、彼らの今がそうであるという保証はない。

彼女はすれ違う。

抜け落ちた床を踏みしだくようにそっと歩く。
私もそれに倣うように歩く。彼女のほうが、先に私に見つかるからだ。

私は永遠に彼女のコトを理解することが出来ない。

私は床が落ちてきたものと考え、彼女は床に落ちてきたものと考えるからだ。

私の今と彼女の今は同じ高さにあり、次元だけが食い違っていた。

彼女は宇宙人だと私は思った。

その葛藤が伝わっても尚、彼女の今では私の葛藤を理解することは出来なかった。

今日もまたすれ違う。彼女が人間になろうと思う日を、私は待ち続ける。

床と床が同じ次元になる頃に、それが訪れると思っている。

それは、希望の話である。

夜獣の星
お台場のガンダムを結局見れなかったので、静岡に見に行きたいというとりとめのない話。

そもそも急ぐ必要は無いのだが、見に行きたいという気持ちと感覚の必要性など当てにならないほど矛盾している上に、どうやら静岡のガンダムは撤去される危険もあると言う。今のうちに見ておかねばならない。
内容的にはそれだけの話なんだが、そのうちホワイトベース、グワジン等の大型戦艦を忠実に再現したビルを建造し、内部にガンダムをはじめ多くのモビルスーツを収納した施設というのも面白いのではないかと思う。それに先んじてザクを作るべきだ。ガンダムとくればザクだと思う者は多いだろう。私もそうである。
場所は大阪がよかろうもん。出来ればお台場にガンダムがいるうちに梅田あたりにザクがそびえていたらカッコ良かったのではないだろうか。

巨大なものを電車の中で寛ぎながら見るというのは私の幼い頃からの夢である。

死ぬまでには、ロボでいいので動くゴジラが見たいものである。巨大なゴジラがデモンストレーションとして歩く。それは名物となり、特に夜に見るゴジラなど最高なのだ。

電線のノスタルジーより更に高く、遥か彼方で歩いていることだけを確認できる程度でも良い。

「おい、ゴジラ歩いてるぞ。」

電車の窓から目を凝らして、微かな地鳴りと電車の揺れと、夜の闇よりわずかに黒いそれが闊歩する。

どこを目指すのか?こちらの旅先や目的地の正反対へと向かう夜獣へ思いを馳せる。それはいつも私と正反対を行く。

動く度に行われるであろう微かな動作も、牙の間から洩れる息遣いも、岩のような肌の詳細もわからない。朝方のコーヒーの匂いにようにしっかりした感覚で耳に届けられる地鳴りでさえ、やがて遥か遠く、前方に向かって伸びる細い糸の先端を見るように消えていく。

「鳴き声は聞こえなかった。」

その日の旅とは明確に区切られたるだろう。それでいて旅という力と作用するのだろう。

どうやらその気持ちをどこかで味わっていて、私はそれを知っているように思う。

勿論それは思いだせないほうが、良いのだ。

無題1‐2
「勘弁してくれないか」例の彼が言った。

彼は彼だけに男だった。分かったことは、粘膜を縫えるようなハッキリとした声と性別とユーモアのセンスだった。私が間違っているのでなければそういうことだった。つまり勘弁してほしいのは私のほうなのだ。

「疑問しかうかばない」私が言った。私はしゃべれたらしい。

自分に希望が持てた。頭の痛みも引いてきた。思いだせたのが吉と出たのだろう。嘘を思いつくのには時間が必要だった。

「混濁するほど殴った覚えは無い。ずっと起きてたのか?」彼は遠慮なく疑問を投げかけてくれる人だった。なんとも心が温かく、ハッキリとした声に設定を合わせたような性格に思えてきた。

「蝶とビルの境目は?」蝶の夢の話を振ったつもりだった。ユーモアで負けるのが悔しかった。安い考えだろうことがわかって後悔したが、悟られてはならないと思った。

「無い。必要がないからだろうけど、それ以上に、状況は理解出来ているのか?」彼は心配そうに言った。もしかしたら私は思い違いをしていて、この状況の直接的かつ暴力的な原因は私にあって、非も私にあって、それでも尚且つ彼は私を心配するほどに心が広いようにも思えた。そういう設定に思えてきた。

「今聞いたような疑問を言いたい。言えば、さらに不利になりはしないかな。」私は心配そうに言った。保身しか考えてない私は、少なくとも正直に見えるだろう。自分に近いものを人は正直に感じたりもする。そして後から一概には言えないと付け加えれば良いのだ。

無題1‐1
軽い頭痛を感じた。視界が回復しなければ周りを見渡せない。場合によっては幸福かもしれない。
後頭部をさすると、不自然な盛り上がりに指が触った。触る度に氷にヒビが入った。しかも人の頭の中で。
たまらなかった。材料を私から奪っていった。立てるか不安になった。

私はつまり寝ていた。自分の部屋だったろうか?視界が回復しなければ周りを見渡せない。氷が解けなければ起き上がれない。材料が必要だった。材料がなければ、次の私が作れなかった。

冷蔵庫になければ、探しにいくべきだった。そう思い立った私は、行動が遅すぎるのだと後悔しながら手を動かしてみた。そういえば、頭をさすったばかりだった。私は気付くのが遅すぎて、産まれるのも遅すぎた。つまり偉人にはなれないのだ。後悔ばかりだった。

「夜明け 季節 夢 希望」

好きな言葉が聞こえてきた。CDプレイヤーを誰かがいじっていた。私のものだった。持ち歩いているものだった。
音にわずかなひずみがあって、いつもそこが気に入らなかった。それが、氷のヒビに上手に入ってきた。頭が二つあるようで、脳が二つあるようで、そのどちらもが私を嫌っているようだった。

「夜明け 季節 夢 希望」

動く手を震わせて腹をさすった。さすって音を鳴らした。気付け。誰でもよい。例え相手の目的が不透明でも、私はフィリップマーロウでもスペンサーでもないからだ。タフである理由がない。希望にすがる理由がある。

私の心は希望にすがるように出来ている。情熱が燃えないためだ。燃えた連中は皆して灰になった。灰の中で偉くなった連中に、私は決まって笑うふりをしてやった。

「目が覚めたなら、いいんだ。」例の誰かが言った。

大音量のCDの中を縫って歩くような声だった。気付いてくれた。しかし、私にとって彼に語りかけるべき言葉があるだろうか?

無いだろう。目的を聞くか?圧倒的有利であったりそう思い込んでる人間が、圧倒的不利な人間にかける言葉にどれほどの意味があるのか?私は思い出し始めた。

これほどまでに愚かな忘れ物はなかった。

圧倒的不利であるから、思いだせたのだろう。私はこうされるべき理由があった。






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